「透明に見える」「水質を調べた」「生き物に合うすみかがある」。この三つを分けると、川について何が分かっているかを具体的に考えられます。

透明な川でも、「底が見える」と「水の成分が分かる」は違う

水が透き通って見えるのは、川を眺めて分かることの一つです。たとえば「丸い石が見えた」「水中の草の輪郭が分かった」と言えます。

一方、水質を調べるときには、水に何がどのくらい含まれているか、どんな性質があるかを確かめます。水に溶けているものまで、一つずつ目に見えるわけではありません。

川内川河川事務所の水質指標の解説でも、水の透明さを知る目安である「透視度(とうしど)」だけで、水がきれいかどうかは決められないと説明されています。

同じ解説には、次のように異なる内容を調べる項目が載っています。

項目の例何を調べている?
透視度水をどのくらい見通せるかの目安
DO(溶存酸素)水に溶けている酸素の量
BOD(生物化学的酸素要求量)微生物が水中の有機物を分解するときに使う酸素の量

DOは「すでに水に溶けている酸素の量」、BODは「分解のときに使われる酸素の量」を調べる項目です。ここでいう有機物には、生き物や落ち葉などに由来するものがあります。

水の見通しと、溶けている酸素の量は、同じものを測っているのではありません。「底まで見えた」という観察だけでは、DOやBODの値は分からないのです。透明さも手掛かりの一つですが、水質のすべてを表すわけではありません。

見通しにくい水の側から考えるなら、川の水が濁る原因も読んでみてください。土砂などが水に混ざる過程を説明しています。

魚が何匹も死んでいるなどの異常を見つけた場合は、水の見た目で原因を決めず、まず離れて管理者へ知らせます。魚の大量死の原因と、連絡するときに伝えることをまとめました。

透明に見える川の水にも、溶けているものがある

目に見えない成分の具体例として、埼玉県環境科学国際センターは、川の水に溶けている蛍光物質を紹介しています。

蛍光物質は、光を受けて、特定の光を出す性質を持つ物質です。川の水が普段から鮮やかに光って見えるわけではありません。ごく弱い光を捉える装置で調べると、人の目では分からないほど微量の物質を確かめられることがあります。

同センターが埼玉県の川の水から紹介しているものには、天然由来の腐植物質(ふしょくぶっしつ)やタンパク質があります。腐植物質は、枯れた植物などが微生物に分解される過程でできるものです。日常生活で使われる物質の一部が検出されることも説明されています。

この例から分かるのは、見た目に何も見えないことと、何も含まれていないことは違うという点です。ただし、蛍光物質が検出されたという情報だけで、危険かどうかは決まりません。物質の種類や量も確かめる必要があります。

川のきれいさと生き物のすみやすさには、流れや川底も関わる

川の生き物にとっては、水の成分に加えて、体を置いたり餌を探したりできる場所があるかどうかも大切です。

たとえば、どちらも川底が透けて見える場所でも、一方には水中に茎が伸びた草があり、もう一方には石のすき間があるとしたらどうでしょう。水の見え方が似ていても、生き物が使える場所まで同じとは限りません。

土木研究所の水際域の研究紹介では、水中の植物が岸沿いの流れを弱め、魚の生息に関わることが説明されています。また、石と石のすき間は魚や甲殻類の居場所になり、その使われ方はすき間の条件や水深、流れによって違うとされています。

水を見通せるかどうかに、植物や石などの情報を重ねていくと、生き物の暮らしを考えやすくなります。水草につかまる虫などの具体例は、川の水草や岸の草を使う生き物で紹介しています。

「生き物にすみやすい川」を考えるときは、どの生き物にとって、どんな場所があるのかも知りたいところです。透明さ一つで、川の暮らしの豊かさまで決めることはできません。

川の透明さと水質についてよくある質問

水の透明さを見ても、意味がないのでしょうか?

意味はあります。どこまで透けて見えたかは、そのときの水の見え方についての情報です。ただし、溶けている成分の量など、目で見るだけでは分からない情報もあります。「見えたこと」と「測って分かること」を分けて受け止めましょう。

透明な川なら、飲んだり泳いだりしてもよいですか?

透明さだけでは判断できません。飲用できる根拠にはせず、泳ぐなどの活動も、水質に加えて流れや水位、天候、現地の利用条件を確かめる必要があります。出かける際は家族で読む川遊びの安全チェックを確認してください。

川を「きれい」と感じた理由を、もう一言

川の写真を一枚見て、「きれいだな」と感じたら、そう思った理由を一つ言葉にしてみてください。「川底の丸い石が透けて見える」「水中の草の形が分かる」。目に入ったものを具体的にすると、ほかの人にも景色が伝わります。

そこから「水に溶けている酸素はどのくらいだろう」と思ったら、それは写真を見るだけでは答えられず、測定して確かめる問いです。見えている景色を言葉にすることと、調べたいことを見つけること。川の写真から、両方を始められます。