「何と何を比べたいか」を先に決める

最初は、「同じ日の二つの地点で、CODの値に違いはあるかな」のように、問いを一つに絞ってみます。CODは水中の有機物などに関わる水質の指標です。水にとけた酸素そのものの量ではありません。水にとけた酸素を魚がどう使うかは、魚は水の中でどう呼吸する?えらと水にとけた酸素で説明しています。

場所も日も測る項目も一度に変えると、違いが出ても何と結び付ければよいか分かりにくくなります。変えて比べたい条件と、できるだけそろえる条件を、測る前に書いておくのがこつです。問いの絞り方そのものは、川の生き物で自由研究のテーマを決めるも参考になります。

親子で初めて取り組むなら、地域の水質調査会などで用意された試料を比べる方法もあります。採水のために無理な場所へ行く必要はありません。川の状況や立ち入りの可否が分からない日は、計画や記録表を作るところまでにします。

パックテストの項目は、それぞれ別のものを測る

パックテストは、水を試薬の入った小さなチューブに取り込み、反応した色を標準色と比べる簡易測定です。チューブの種類によって、調べるものが違います。

ここでは、共立理化学研究所の「川の水調査セット AZ-RW-3」を例にします。CODなど五つの項目を測れるセットですが、最初から全項目を使わなくても、自分たちの問いに合う項目から取り組めます。製品が違えば、測定範囲や使い方も同じとは限りません。

「水のきれいさ」は一つの数字にまとめきれません。国土交通省・川内川河川事務所の解説でも、水質を考えるときは複数の指標を使うと説明されています。

たとえば、CODを測った結果は、その水のCODについての手がかりです。細菌や、測っていない物質の有無まで一緒に確かめたことにはなりません。飲んでみたり、川へ入ってよいかを決めたりする検査には使わないでください。

水温と反応時間を、説明書に合わせる

水質調査を三つに分けて記録する図。採水時は場所と時刻と天気、測定時は項目と水温と反応時間、結果は値と単位と色の迷いを残す
川で水を採ったときと、測定するときの条件を分けて残します。

色を比べるまでの時間は、どのチューブでも同じではありません。水温も発色に関わります。たとえば、このセットのCODは水温に合わせて反応時間を決めるため、「全部同じ時間だけ待つ」では条件がそろいません。

使う前に、保護者と一緒にメーカーの取扱説明書を読みます。中には強アルカリ性の試薬を使う項目もあります。内容物を出さず、目や皮膚に触れさせないことが大切です。子どもだけで扱わず、保護者や先生の指導のもとで進めます。

  • 試料を分ける:きれいな容器に取り、測る項目ごとに別の容器を使います。川へ直接チューブを入れません。
  • 条件を合わせる:指定の水量、水温に合う反応時間、項目に合う標準色を確認します。タイマーを用意すると、読む時刻を決めやすくなります。
  • 指定の時刻に読む:色を比べたら、値と単位をすぐ記録します。時間がたってから見た色で、結果を書き直しません。

手や容器の汚れも測定に影響します。測定前に説明書どおり準備し、試料へ指を入れないようにします。終わったチューブは中身を出さずに持ち帰り、説明書と地域の分別方法に従って処分します。

採水時の水温と、測定時の水温が違うこともあります。二つを同じ欄へ書かず、それぞれ残しておくと、あとから測定条件を確かめられます。

記録表には、数値の横に条件も残す

色の写真だけでは、いつ読んだ色なのか、どの項目なのかが分からなくなることがあります。写真に加えて、次のような欄を作ってみてください。

記録するもの書いておきたいこと
採水日付・時刻・場所・天気、採水時の水温
測定項目・製品、測定時の水温、反応時間
結果読み取った値・単位、色で迷った点
周りの様子見えた流れや水の色など。見ていないことは足さない

窒素やりんの項目には、表示する形によって違う数値になるものがあります。単に「硝酸」と省略せず、使った標準色にある項目名と単位を写しておくと、別の記録と比べるときに混同しにくくなります。このセットでは、説明書が指定する「〜態窒素」「〜態りん」の表示を使います。

色の間に見えた場合も、都合のよい値を選ぶのではなく、説明書の読み方に従います。「この二色の間に見えて迷った」と一言残すことも、測定の大事な記録です。数えた結果を表やグラフにまとめる手順と「分からない」の残し方は、川の観察をグラフにするには?で扱っています。

結果と「そう考えた理由」を分けて書く

もし二つの地点で違う値が出たら、まず「今回、この条件で測ると違いがあった」と書きます。そこからすぐに「近くの家が水を汚した」と原因を決めることはできません。今回調べていないことは、次の問いとして残します。

逆に、同じ色になったときも、二つの川の水がすべて同じという意味ではありません。今回の項目と測定範囲では、区別できる違いが見えなかった、という結果です。

環境省の水生生物調査の解説には、生き物を使って水質を考える別の方法も載っています。ただし、生き物が一種類いたことだけで水質を決める方法ではありません。パックテストの数値と生き物の観察は、何を調べた結果なのかを分けて扱います。調査結果の読み方は、川の生き物で水のきれいさが分かる?で紹介しています。

見た目との関係が気になったら、透明な川の水でも、水質を見た目だけでは決められない理由も参考になります。

川の水のパックテストで、よくある質問

CODが0の色なら、何も含まれていない水ですか?

その測定の0の目盛に対応する色だった、という結果です。すべての成分がないという意味ではなく、飲める水とも判断できません。測った項目名と測定範囲を添えて記録します。

上流と下流を一度測れば、川の水質が分かりますか?

その日に採った水を比べる手がかりにはなりますが、川全体や一年中の状態は分かりません。日付・天気・採水時刻・測定条件を残し、今回の結果から言える範囲に絞ってまとめます。

次に確かめたいことを、一つ残して終わろう

「同じ日に比べたけれど、水温は少し違った」「同じ色に見えたので、別の日も確かめたくなった」。結果のあとに残った疑問が、次の調査の入り口になります。

かわみっけの観察メモや手元のノートに、測る前の予想、今回の結果、次の問いを分けて書いてみてください。予想どおりにならなかったところも、自由研究の面白い部分です。