川へ出かける際は、家族で読む川遊びの安全チェックを確認してください。

川の石に付いたもの全体と、藻類を分けて考える

水中の石などの表面に付いて育つ藻類を、付着藻類(ふちゃくそうるい)と呼びます。川底の石は、こうした小さな生き物が育つ場所でもあります。

ただし、石の表面に見えるものが、すべて生きた藻類とは限りません。細かな土砂などがたまっていることもあります。表面に付いているもの全体を指す「付着物」と、その中の「藻類」は、分けて考えられます。

土木研究所の河床付着物の研究紹介では、2005年の新境川と2004年の多摩川で、石に付いたものを調べています。分析では、付着物の重さに加え、藻類の量や細かな土砂の量などを分けて確かめていました。

石の表面に何かが厚く付いていても、その厚みが全部、餌になる藻類とは限りません。「何がどのくらい含まれているか」が、生き物の食べ物を考えるうえでも大切になります。

藻類が育つ条件には、水中に届く光なども関わります。光との関係が気になったら、川の日陰と日なたの生き物も読んでみてください。

川の石の藻を食べる生き物:ヒラタカゲロウの幼虫はあごで削り取る

石に付いた小さな藻類を食べる虫の例が、ヒラタカゲロウの仲間の幼虫です。

森林総合研究所の川虫の解説では、瀬にすむヒラタカゲロウが、石の表面の微細な藻類などをあごで削り取って食べると紹介されています。「微細(びさい)」は、とても小さいという意味です。

食べ物が石の表面に付いているので、あごを使ってそこから取り外します。流れてくる食べ物を待つ食べ方とも、動く獲物を追いかける食べ方とも違います。

ヒラタカゲロウの幼虫は、平たい体で石の下や間にも入り込みます。そのあごは、石の表面の食べ物を取るときに働きます。どこにすむかに加えて、そこで何をしているかを知ると、小さな虫の体の働きが見えてきます。

石の下で暮らす川虫では、石の裏や石どうしのすき間を利用する暮らしも紹介しています。

石の藻を食べる魚:成長したアユは櫛のような形の歯で食べる

石の表面の藻類を食べる魚として、アユが知られています。川を泳ぐ魚にも、石に付いた食べ物を取る口があるのです。

国土交通省・太田川のアユ解説によると、アユの口のかみ合う部分には、櫛状(くしじょう)の歯が並んでいます。「櫛状」は、髪をとかす櫛のような形という意味です。石に付いた藻類を食べやすいつくりになっています。

成魚は、口元を岩にこすり付けるようにして付着藻類を食べます。石の表面にある食べ物を取るために、口の形と動かし方が組み合わさっています。

アユの食べ物は、成長とともに変わります。同じ解説では、まだ小さな仔魚(しぎょ)や稚魚(ちぎょ)は動物プランクトンを食べ、さらに育った幼魚は水生昆虫などを食べるとされています。その後、口のつくりが変わり、付着藻類を食べるようになります。

「アユの食べ物は藻類」と覚えるときは、成長してからの食べ方だということも一緒に覚えておきたいところです。

川の石の藻を、虫と魚が違う口で利用する

ヒラタカゲロウの幼虫と、成長したアユ。虫と魚で体は大きく違いますが、どちらにも石の表面の食べ物を取る暮らしがあります。

生き物の例石の表面から食べるもの食べ方の特徴
ヒラタカゲロウの幼虫微細な藻類などあごで削り取る
成長したアユ付着藻類櫛状の歯が並ぶ口を使い、岩に口元をこすり付けるように食べる

「何を食べるか」から「どうやって取るか」へ進むと、体の小さな部分にも意味があると分かります。石の表面を食べ物のある場所として見ると、あごや歯の働きにも目が向きます。

藻類を食べる虫が、さらに別の生き物の食べ物になる関係は、川の食物網の矢印をたどる記事で見られます。落ち葉や陸の虫から魚へ届く道も、一緒に考えてみましょう。

石の藻と生き物についてよくある質問

石が緑色なら、付いているものはすべて藻類ですか?

色だけで、付着物の中身を決めることはできません。藻類のほかに土砂などを含むこともあります。色やぬめりから藻類の種類を決めたり、その川の水質や遊べる安全性を判断したりはしません。

石にある模様は、アユが食べた跡ですか?

アユが藻類を食べた後に残る跡は、「はみあと」と呼ばれます。ただし、石に見えた模様がすべてアユの食べた跡とは限りません。確認のために石を動かさず、現地で見えたものの正体は保留します。

石の藻を食べる生き物の話は、口の使い方を添えて伝える

「石に付いた藻を食べる生き物がいるよ」と誰かに話すなら、食べ方も一言添えてみてください。「ヒラタカゲロウの幼虫は、あごで削り取る」「アユは、大きくなると櫛のような歯で食べる」。石の表面を利用するという共通点があっても、食べ方には違いがあります。

食べ物は、泳いだり動いたりするものばかりではありません。石に付いた小さな藻類と、それを取る口の形を知ることも、川の暮らしを見つける一歩です。