川の落ち葉は誰が食べる?川虫のごはんと巣になる葉

石のくぼみや流れの緩い場所に、茶色い落ち葉が重なっていることがあります。水に沈んだ葉は、ただ積もっているだけなのでしょうか。
川の落ち葉は、カクツツトビケラの仲間の幼虫などの食べ物になります。 この仲間には、落ち葉を四角く切り取り、巣の材料として使うものもいます。同じ落ち葉が、ごはんにも、体を包む巣にもなるのです。ただし、川虫がみな落ち葉を食べるわけではありません。
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落ち葉だまりをすくったり、水へ入って葉をめくったりせず、資料にある姿から暮らしを見ていきましょう。川へ出かける際は家族で確認する川遊びの安全チェックを読み、増水のおそれがある日は近づきません。
川の落ち葉を食べる生き物:カクツツトビケラの幼虫
カクツツトビケラの仲間の幼虫は、川にたまった落ち葉を食べる虫です。葉を食べたあとには、かたい筋が残ることがあります。この筋が「葉脈」です。
森林総合研究所の「森と川をつなぐ多様な川虫たち」では、落ち葉だまりにすむカクツツトビケラの仲間と、それらに食べられて葉脈が残った葉を紹介しています。写真3の右側を見ると、葉がすけるようになった姿を確かめられます。
葉が食べられるというと、端から少しずつなくなる姿を想像するかもしれません。けれど、かたい葉脈と、その間の部分では、残り方が違うことがあるのですね。虫そのものの写真だけでなく、食べられた葉にも、その暮らしを知る手掛かりがあります。
落ち葉を巣にする川虫:四角く切った葉片で体を包む
カクツツトビケラの仲間には、落ち葉を食べるだけでなく、巣づくりにも使うものがいます。四角く切った葉のかけらを糸で組み合わせ、四角柱の形の巣をつくります。
できあがる巣は、断面が四角い筒のような形です。幼虫はその中に入り、巣と一緒に動き回ります。先ほどの森林総合研究所の写真3では、左側に巣に入った幼虫が紹介されています。
同じ葉でも、食べるときには食べ物、組み合わせるときには体を包む材料になります。「この虫は何を食べる?」に加えて、「何を使って巣をつくる?」と考えると、落ち葉との関わりがもう一つ見えてきます。
なお、トビケラの巣は種類によって違います。石に固定した巣を使う仲間については、瀬にすむ川虫の体や巣の工夫で紹介しています。葉の巣を持ち歩く暮らしを、トビケラの仲間すべてに当てはめることはできません。
川の落ち葉は、種類が違うと食べられ方も変わる
川に落ちた葉は、どれも同じように食べられるのでしょうか。葉を食べる虫がいても、葉の残り方は一様ではありません。
北海道南部の渡島地方で行われた研究では、小さな川で9種類の木の葉を比べました。虫が入れる条件と、虫が入れないようにした条件を比べ、食べられ方の違いを調べています。
虫が入れる条件では、ケヤマハンノキの葉は大きく減った一方、ブナなどの葉は比較的多く残りました。詳しい内容は、北海道立総合研究機構が掲載する「落ち葉を食べる水生昆虫」(PDF)で読めます。
これは、北海道のその川と、使った葉についての実験結果です。どの川でも同じ順番で食べられる、何日で葉がなくなる、と決めるためのものではありません。大切なのは、「落ち葉」とひとまとめにしても、木の種類によって利用され方に違いがあるという点です。
また、水に入ってからの葉の状態にも目を向けられます。土木研究所の「森と川のつながり(2)」は、水中に入った落ち葉の表面にまず細菌が付き、比較的やわらかい葉から水生昆虫に利用されると説明しています。
一見同じ茶色の落ち葉でも、木の種類や葉の状態まで同じとは限りません。虫の食事を知るときには、食べられる葉の側にも違いがあるのですね。
落ち葉を食べた生き物の写真と、目の前の葉は分けて考える
研究機関の解説では、「この仲間が食べた葉」として写真が紹介されています。一方、川で葉脈の残った葉を一枚見かけても、その姿だけで食べた虫の名前までは分かりません。
写真と形が似ていることと、同じ生き物が食べたと確認できることは別です。葉が薄くなっていたり、一部がなくなっていたりしても、どんな過程でそうなったかは、見た目だけでは決められません。
「川虫が食べた可能性もあるのかな」と問いを持つところまでで十分です。確かめるために落ち葉だまりへ入り込んだり、葉を裏返して探したりせず、資料の説明と、今見えていることを分けて楽しみましょう。
川の落ち葉と生き物についてよくある質問
トビケラの幼虫は、みんな落ち葉を食べるのですか?
食べ物は仲間によって違います。落ち葉を食べる例として紹介したのは、カクツツトビケラの仲間です。流れてくる小さなかけらを網で受け止めるなど、別の食べ方をするトビケラもいます。
落ち葉のかけらを見つけたら、虫の巣でしょうか?
葉片があるだけでは、巣とは決められません。この記事で紹介したのは、葉片を糸で組み合わせた巣です。形が似ていても、現地で見たものの正体は保留し、持ち上げたり開いたりせず資料で調べましょう。
虫のごはんになるなら、川へ落ち葉を入れてよいですか?
食べ物になる葉があることと、人が川へ葉を足してよいことは別です。観察のために落ち葉を運び入れたり、たまりをつくったりせず、その場所の環境を変えない方法で学びましょう。
川の落ち葉の生き物を知るなら、食べられた葉と巣になった葉を見比べる
一枚の落ち葉も、川虫に使われると違う姿になります。食べられて葉脈が残ることもあれば、切り取られた葉片が巣の一部になることもあります。
本文で紹介した森林総合研究所の写真3には、その二つが並んでいます。左の巣と、右の葉脈の残った葉を見比べてみてください。葉を食べることと、葉を材料にすることの違いが、形からも見えてきます。
ほかの材料を使う虫が気になったら、泥などで巣をつくるユスリカの幼虫にも、また違う暮らしがあります。


