砂の中の暮らしは、図鑑や施設の解説から知ることができます。生き物を探すために砂を掘ったり、足で踏んで追い出したりしないでください。川へ出かける際は家族で確認する川遊びの安全チェックを読み、増水のおそれがある日は近づきません。

砂底の生き物の例:カマツカ類は砂ごと口に取り込んで餌を探す

カマツカの仲間は、細長い体で川底近くに暮らす魚です。口は下向きに開き、口の周りにはひげがあります。この口で、砂と一緒に餌を取り込みます。

「砂を食べているの?」と思うような動きですが、主な食べ物は川底の小さな動物などです。口に入れた砂は、外へ出します。川底の食べ物を、砂ごと取り込んで探しているのですね。

神奈川県のカマツカ類の図鑑には、口の形や食べ方、砂にまぎれた姿が紹介されています。魚の写真を見るときは、体の模様だけでなく、口がどちらを向いているかにも注目してみてください。川底で餌を探す暮らしと、体の形を結びつけて読めます。

砂は食べ物を探す場所であると同時に、身を隠す場所でもあります。同じ図鑑には、驚くと砂に潜り、目だけを出す姿の説明もあります。動きを見ようとして魚を驚かせず、資料にある姿から、砂をどう使うのかを知りましょう。

川底を使う魚にも、いろいろな暮らしがあります。石に付くヨシノボリの腹びれや、昼は物陰に隠れるドンコを知ると、砂に潜る魚との違いも見えてきます。

川の砂底で暮らす虫:フタスジモンカゲロウの幼虫

砂に潜る生き物は、魚だけではありません。フタスジモンカゲロウという昆虫の幼虫も、砂の中で暮らします。

兵庫県立人と自然の博物館の図鑑によると、フタスジモンカゲロウの幼虫は、川の上流から中流にある、流れの遅い砂底に潜って生活します。砂の中にある藻類や、生き物の死がいなどに由来する細かなものを食べます。

この図鑑には幼虫の写真があり、体はずんどう型で、あごが突き出していることも紹介されています。同じページにある成虫の写真と見比べれば、水中で暮らす時期と成虫になってからの姿の違いも分かります。

ここで知っておきたいのは、カゲロウの仲間が、みな砂に潜るわけではないことです。紹介したのはフタスジモンカゲロウの幼虫の暮らしです。「川の虫」とひとまとめにせず、図鑑に書かれた種類とすみかを一緒に読むと、違いが見えてきます。

カマツカ類の餌を探す動きも、幼虫の潜る暮らしも、砂があることと結びついています。川底の砂は、生き物にとって使い道のある場所なのです。

「砂底」「砂礫底」「砂泥底」は何が違う?

図鑑で生き物のすみかを調べると、「砂底」だけでなく、「砂礫底」や「砂泥底」という言葉が出てくることがあります。難しそうですが、川底に何が混じっているかを表す言葉です。

図鑑の言葉思い浮かべたい川底
砂底砂が広がる川底
砂礫底(されきてい)砂と、小石などの礫が混じる川底
砂泥底(さでいてい)砂と泥が混じる川底

礫、砂、泥は、地質学では粒の大きさで区別します。鹿児島大学の「砂の分類」の解説も、この違いを説明しています。砂より大きな粒を礫、砂より細かな粒を泥と考えると、図鑑の言葉を読みやすくなります。

自然の川底では、同じ大きさの粒だけがきれいに並ぶとは限りません。砂の中に小石があったり、泥が混じったりします。「砂の川」と一言で呼んでいても、生き物のすみかを詳しく書くと、別の言葉が必要になるのですね。

泥が混じるという説明も、川底をつくる粒についての情報です。それだけで、水が汚れているという意味にはなりません。泥そのものを利用する生き物については、泥底のドジョウやユスリカの幼虫で紹介しています。

砂底の生き物は、砂しか見えなくても下の様子までは分からない

砂にまぎれる魚や、砂の中に潜る幼虫は、岸から川底を眺めただけでは見えないことがあります。だからといって、見えない場所に必ず生き物がいると決めることもできません。

「砂が見えた」「魚の姿は見えなかった」という記録と、「そこに魚はいない」という判断は分けておきましょう。砂底の生態を知ることは、目の前の川にいる種類を言い当てることとは違います。

もっと姿や動きを知りたくなったら、川底を掘る代わりに、水族館や科学館の解説を見てみる方法もあります。相模川ふれあい科学館の坂道お魚観察水槽の紹介では、カマツカが砂ごと餌を探し、砂に潜って身を隠す暮らしを説明しています。訪れる場合は、その時点の展示案内を確認してください。展示される生き物は変わることがあります。

砂の川底の生き物についてよくある質問

「カマツカ類」と書いてあるのはなぜですか?

以前カマツカと呼ばれていた魚は、現在はカマツカ、スナゴカマツカ、ナガレカマツカの三つに分けられています。ここでは、出典の説明に合わせ、仲間をまとめた呼び方にしています。写真が似ているだけで、どの種類かは決められません。

砂底なら、紹介された魚や虫がいますか?

砂があるという条件だけでは決まりません。たとえばフタスジモンカゲロウの幼虫については、図鑑で流れの遅い場所という条件も示されています。地域や、ほかの環境条件も関わるため、ここで紹介した生き物が身近な川にいるとは限りません。

砂が見える川底なら、浅くて歩けますか?

砂が見えることから、水深や足元の状態、安全に歩けるかは判断できません。生き物を確かめるために、水へ入ったり、砂底を踏んで探したりしないでください。川底が見える景色は、入水してよい目印ではありません。

砂底の生き物を調べるなら、図鑑のすみか欄で砂の文字を探す

砂ばかりに見える川底にも、餌を探す魚や、砂の中で暮らす虫がいます。見える姿が少なくても、資料から知ることのできる暮らしはあります。

手元や図書館の図鑑を開く機会があったら、気になる魚や虫のすみか欄で、「砂」「砂礫」「砂泥」のどれかを一つ見つけてみてください。その一語から、砂だけなのか、小石や泥も混じるのかを思い浮かべられます。

石の多い川底との違いが気になったら、石の裏側やすき間にいる川虫も読んでみましょう。