魚は水の中でどう呼吸する?えらと水にとけた酸素

水槽の魚を横から見ていると、口だけでなく、頭の後ろも動いています。魚は水の中で、何を体に取り込んでいるのでしょうか。
魚はえらに水を通し、水にとけている酸素を血液へ取り込みます。 血液は酸素を体へ運び、体でできた二酸化炭素はえらから水へ出します。水と血液が、そのまま混ざるわけではありません。
目次
魚が使うのは、水にとけている酸素
人が空気中の酸素を使うように、魚も体を働かせるために酸素を使います。えらで取り込むのは、水にとけ込んでいる酸素です。
国土交通省・川内川河川事務所の水質の解説では、水中にとけた酸素の量を「溶存酸素(ようぞんさんそ)」と呼んでいます。「水の中にある酸素」と考えると、名前を覚える前にも意味をつかめます。
水そのものを分解して酸素を取り出すわけではありません。また、水にとけた酸素が、魚の周りに小さな泡として並んで見えるわけでもありません。透明な水を眺めるだけでは、そこにある酸素の量までは分からないのです。見た目と水質を分けて考える話は、透明な川は「きれいな川」?見た目だけでは分からないことでも扱っています。
えらは、薄い面をたくさん持つ器官
えらには、細かく分かれた薄い面がたくさんあります。その面に水がふれることで、水にとけた酸素が血液へ移ります。血液は、受け取った酸素を体の各部へ運びます。
薄い面がたくさんあると、小さな場所でも水にふれる面積を広く取れます。米国ライス大学のOpenStax生物学教材も、えらの折り重なった構造と、酸素が血液へ移る仕組みを説明しています。
反対向きに移る気体もあります。体でできて血液に運ばれてきた二酸化炭素は、えらを通して水へ出ていきます。酸素を受け取ることと、二酸化炭素を出すことが、同じえらで行われています。
水の通り道と、酸素の行き先は違う
多くの川魚では、えらは頭の後ろにある「えら蓋(えらぶた)」に覆われた空間にあります。口から入った水をえらのあるところへ通し、えら蓋の側から外へ出します。えら蓋は、その水の流れを作る働きにも関わります。
ここで、水の流れと、そこにとけた気体の移動を分けると、体の中で起きていることを整理できます。
| 注目するもの | えらのところではどうなる? |
|---|---|
| 水 | えらの面を通り、体の外へ出ていく |
| 水にとけた酸素 | えらの薄い面を通して血液へ移る |
| 血液で運ばれた二酸化炭素 | えらの薄い面を通して水へ移る |
「口から入った水が、血管の中を流れる」と考えると、この違いが見えなくなります。水はえらにふれ、酸素はその薄い面を越えて血液へ。二つの行き先を指でたどるつもりで、図を見直してみてください。
水があっても、酸素の量はいつも同じではない
水にとける酸素の量には、水温などの条件が関わります。環境省の水生生物調査の解説は、水温が低いほど多くの酸素がとけ、高くなるととける量が小さくなると説明しています。
ただし、実際の川にどれだけ酸素があるかは、水温だけでは決まりません。水中の植物が酸素を作る一方で、細菌などが酸素を使うことも関わります。「冷たいから必ず十分」「透明だから多い」と、見た目や感触だけで決めないようにします。酸素が足りなくなった水で魚に何が起きるかは、魚が大量に死ぬのは水の汚れが原因?酸欠との関係で説明しています。
酸素が少ない条件への強さも、生き物によって違います。その違いは、少ない酸素の中で暮らせる生き物の体の働きで詳しく紹介しています。
水槽では、頭の後ろの動きを見てみよう
魚に触れたり、水槽をたたいたりせず、横から静かに見てみます。えらの細かな面は見えなくても、えら蓋の動きに気づくことがあります。
- 口が開いたり閉じたりしているか。
- 頭の後ろのえら蓋が、どのように動いているか。
- 泳いでいるときと立ち止まっているとき、見え方がどう違うか。
これは、見える動きを記録するための見方です。動く回数だけから、水中の酸素の量や魚の体調を診断するものではありません。魚の向きが変わって見えなくなったら、追いかけず、そのとき見えたところまで残します。同じ魚が水の中ほどで止まって見える理由は、魚の浮き袋は何をする?水の中で浮かぶ仕組みで別に説明しています。
魚のえらについて、よくある質問
えらは、外からそのまま見えるのですか?
多くの川魚のえらは、頭の後ろのえら蓋に覆われています。外から見える蓋の動きと、中にある細かなえらは別です。えらを見ようとして蓋を開いたり、魚を持ち上げたりする必要はありません。
どの魚も、呼吸はえらだけですか?
魚の仲間には、ハイギョのように肺も使うものがいます。ここで見たのは、えらで水にとけた酸素を取り込む基本の仕組みです。魚による違いは、その種類についての解説で確かめます。
見える動きの先に、見えない酸素の移動がある
次に水槽の魚を見るときは、口から少し目を移し、頭の後ろも眺めてみてください。その中に、水と血液の間で気体をやり取りする薄いえらがあります。
かわみっけの観察メモには、「頭の後ろがゆっくり開いたり閉じたりした」のように、見えた動きを一つ残せます。図で調べた体の中の仕組みと、自分で見た動きを、分けて書いておくのがこつです。体の横に見える線が気になったら、魚の側線とは?水の動きを感じる仕組みも続けて読めます。



