浮き袋は、体の中にある気体の袋

浮き袋は、浮き輪のように体の外についているものではありません。魚の体内にあり、中に気体が入っています。多くの硬骨魚が、この器官を持っています。

米国ライス大学のOpenStax生物学教材では、浮き袋を、浮力の調節を助ける気体の入った器官として説明しています。浮き袋と血液の間で気体をやり取りする仕組みもあります。

「袋がある」という形だけでなく、中身が気体であることが大切です。気体は水や体の組織に比べて軽く、重さをあまり増やさずに体のかさを増やせます。そのことが、水の中での浮きやすさに関わります。

水から受ける浮力と、重さがつり合う

水中の魚に、下向きの重さと上向きの浮力がつり合って働く模式図。体内には気体の入った浮き袋がある
水中で力がつり合う場合を示しています。浮力は水から受ける力です。器官の形や大きさ、ひれによる力などは簡略化しています。

水の中にある物体は、水から上向きの力を受けます。これが「浮力(ふりょく)」です。一方、重力は物体を下向きに引いています。

物体が水中で押しのける水の量が多いほど、受ける浮力は大きくなります。浮き袋の気体で体のかさが増えると、体全体としては、同じかさの水に近い重さへ調節しやすくなります。

上向きの浮力と下向きの重さがつり合えば、体は浮き上がり続けることも、沈み続けることもありません。浮き袋は、このつり合いを取りやすくする器官なのです。

ただし、浮き袋が自分で魚を上に引っ張るわけではありません。魚を上に押しているのは、周りの水です。「体の中の気体」と「水から受ける力」を分けると、図の二つの矢印の意味が分かります。

浮き袋とひれは、役割が違う

浮き袋があれば、ひれを動かさずに何でもできるのでしょうか。水中にとどまりやすくすることと、向きを変えたり泳いで進んだりすることは、別の働きです。

注目するところ主な役割・見方
浮き袋気体によって浮きやすさを調節する。体の中にあり、外からはふつう見えない
ひれや尾の動き泳いで進む、向きを変える、姿勢を保つことなどに関わる
水の動き魚の位置に影響する。流れの中では同じ場所にいても泳いでいることがある

じっとしているように見える魚も、よく見ると小さくひれを動かしているかもしれません。「場所が変わらない」と「何も動かしていない」は同じではないのです。流れの中で同じ場所にとどまる魚の泳ぎは、川の魚はなぜ上流を向く?で見ています。

水中に浮いて見える魚を、どう観察する?

川魚の中には、中ほどの深さで過ごす姿が見られるものもいます。和歌山県立自然博物館のウキゴリの解説では、ウキゴリ属の多くが、成魚になっても水の中層を泳ぎ、浮かぶように過ごすと紹介されています。

これは、魚がどこでどう過ごすかという観察の話です。その姿だけから、浮き袋の有無や中の気体の量までは分かりません。浮き袋の働きを調べたことと、目の前の魚について確かめられたことは、分けておきます。水族館の水槽でどこを見ると面白いかは、淡水魚の水族館を親子で楽しむにまとめています。

水槽では同じ一匹をしばらく見て、次の三つを比べてみてください。

  • 底・中ほど・水面近くの、どこにいるか。
  • 同じ場所にいる間、ひれや尾はどう動いているか。
  • 泳ぎ出す前と後で、姿勢や向きはどう変わるか。

底にいる魚の暮らしが気になったら、川底にすむ魚とその居場所も読んでみてください。底にいる姿だけで「浮けない魚」と決めず、暮らす場所とのつながりを見ていけます。

魚の浮き袋について、よくある質問

どの魚にも浮き袋があるのですか?

すべての魚が持っているわけではありません。浮き袋を持たない魚もいます。泳ぎ方や水中での位置だけでは有無を決められないので、その種類についての体の解説で確かめます。

浮き袋がない魚は、水中に浮けないのですか?

浮き袋がなくても、水中を泳ぐ魚はいます。浮き袋は浮きやすさを調節する方法の一つです。魚の位置や姿勢には、体のつくりに加えて、泳ぐ動きや水の流れも関わります。

「浮いていた」と「ひれが動いた」を別々に残そう

水槽で魚を見たら、「中ほどにいた」「胸の近くのひれが小さく動いた」のように、見えたことを二つに分けてみます。同じ場所にとどまる間にも、小さな動きがあることに気づけるかもしれません。

かわみっけの観察メモには、見えた位置や動きを書き、調べた浮き袋の働きは別に添えます。体の中の仕組みを知ってからもう一度眺めると、さっきまで見落としていたひれにも目が向きます。頭の後ろの動きも一緒に見るなら、魚は水の中でどう呼吸する?えらと水にとけた酸素へ続けて読めます。