水が石を運び、石や川底との接触が形を変える

川の流れは、砂や小石を運びます。石は川底を転がったり、すべったり、跳ねるように動いたりして、流れに運ばれます。そのときに、ほかの石や川底と繰り返し接触します。細かな土砂が水に混ざって濁りになる仕組みは、川の水が濁るのはなぜ?で扱っています。

英国地質学会の水による運搬の教材でも、川底の礫や砂が周囲を削りながら、自分自身も小さく、丸みのある形になることが説明されています。ぶつかったり、こすれたりして表面が減ることを「摩耗」といいます。

ここでは、水が石を動かす働きと、動く石が接触して削れることをつなげて考えます。水につかってじっとしているだけで、同じように角が取れるという説明ではありません。

出っぱった角が減っても、球になるとは限らない

角のある石が接触によって角を失い、丸みのある細長い形になる例を示す模式図
角が減る変化の一例です。すべての石がこの順で同じ形になることや、変化にかかる日数・距離は表していません。

角ばった石では、出っぱった部分が周囲に当たりやすくなります。そうした部分が削られると、輪郭のとがったところが減り、丸みを帯びていきます。

PLOS ONEに掲載された礫の摩耗の研究では、石灰岩の試料を繰り返し衝突させる実験やモデルを使い、角の丸まり方と全体の寸法の変化を調べています。角が減る変化と、全体が小さくなる変化は、単純に同じものとして扱えません。

自然の川では、こすれ方や石の材質などの条件が加わります。角が丸くても、石全体は細長かったり、平たかったりします。「丸い石」は、必ずしもボールのような石ではないのです。

丸い石も、角のある石も、同じ河原にある

同じ場所にあっても、石の種類や元の形、動いてきた過程は同じとは限りません。途中で割れて新しい角ができる場合もあります。今見える形は、いろいろな変化を経た結果です。

また、川底の石がいつも動いているわけではありません。BCcampusの地学教材では、平常の流れでは動かない大きな粒が、速い流れで動く場合を説明しています。普段の川で石が止まって見えても、それまで一度も動いていないとは言えません。流れの速い瀬で石にしがみついて暮らす生き物は、流れの速い川には何がいる?で見られます。

石の角が丸いことは、摩耗を考える手がかりになります。ただ、それだけで「何キロメートル流れてきた」「何年かかった」と読み取ることはできません。石を見て分かる形と、調べなければ分からない履歴を分けておきます。

「丸い」を、角・全体の形・大きさに分けてみよう

乾いた安全な河原から、見える石を二つほど比べてみます。持ち上げて裏返さなくても、上から見える輪郭で違いを探せます。石を裏返さないのは、石の下で暮らす小さな生き物のすみかを崩さないためでもあります。気に入った石を持ち帰ってよいかは、川の石は持ち帰っていい?で確かめられます。

見るところ比べ方の例混同しないこと
角の丸みとがった角が目立つか、なめらかか丸い角でも、全体が球とは限らない
全体の形細長いか、幅があるか、平たく見えるか細長い石にも丸みのあるものがある
大きさ隣の石より大きいか、小さいか小さい石が必ずよく丸まっているわけではない

観察メモには、一語で「丸い」と書く代わりに、次のように残せます。

  • 角はなめらかだけれど、全体は細長い。
  • 平たく見えて、輪郭の一部には角がある。
  • 隣の石より小さく、角がはっきりしている。

石をぶつけて削れ方を試したり、水へ投げて動かしたりする必要はありません。その場にある姿を描くだけでも、形の違いを比べられます。

川の石について、よくある質問

石は川の水につけておけば丸くなりますか?

川石の角が減る主な仕組みとして、運ばれる間の衝突やこすれがあります。水につけて置くだけで、流れの中で動く石と同じ変化が起きるわけではありません。

下流にある石は、全部丸くて小さいのですか?

すべてがそうなるとは限りません。石の種類や供給された場所、運ばれ方、途中で割れたかなどの条件が違います。下流という場所だけで、一つ一つの石の形や大きさは決められません。

石の輪郭に、流れの働きを見つける

丸い石を一つ見つけたら、近くの石も見てみてください。角のなめらかさと、全体の細長さを別々に見ると、似ているようで違う形が見えてきます。

観察メモには、石を動かさず輪郭を描き、気づいた角の様子を書き添えられます。川の流れが運び、石どうしが触れ合ってきたことを、目の前の形から考えてみましょう。