川の水面にいる虫、細い体と長い脚のアメンボの仲間

アメンボの写真を見ると、細い胴体から脚が外へ伸びています。水面で脚を広げた姿が分かれば、アメンボの仲間を調べる手掛かりになります。

福岡県の身近な生きもの図鑑「アメンボ」で紹介されるアメンボは、カメムシの仲間です。水面に落ちた昆虫などを捕らえ、ストローのような口を差し込みます。消化液で中身を溶かし、液状になったものを吸って食べます。

水面は移動する場所であるとともに、食べ物を得る場所でもあります。口の動きまでは遠くから見えなくても、食べ方を知ると、水面での暮らしを思い浮かべやすくなります。

同じ図鑑には、ヒメアメンボやコセアカアメンボも載っています。「アメンボの仲間」という大きなまとまりの中にも、体や脚の形が違う種類がいるのです。見つけた虫の細部が分からないときは、まず仲間までを候補にしておけます。

水面をすいすい泳ぐ虫、丸みのある体のミズスマシの仲間

脚を大きく広げた姿よりも、つやのある小さな体が目立ち、水面をすいすい泳ぐ虫なら、ミズスマシの仲間も候補になります。

東京動物園協会が2006年に公開したミズスマシの解説では、水面をくるくると円を描くように泳ぐ様子が紹介されています。アメンボとは分類も違い、ミズスマシはカブトムシなどと同じ甲虫の仲間です。

ミズスマシも、水面に落ちた小さな虫を餌にします。前脚で抱えるようにつかまえ、かじり取って食べます。吸って食べるアメンボとは、口の使い方が違います。

また、餌をつかむ前脚は長く、泳ぐための中脚と後脚は短く平たいと説明されています。

川の水面の虫は、流れの目立たない場所を使う例がある

川の水面は、どこも同じように流れているわけではありません。水面の虫のすみかを調べると、流れのゆるい場所が出てくることがあります。

埼玉県西部と山梨県北部を対象にした2020年発表のミズスマシの研究は、2019年の調査と、それ以前の記録をまとめたものです。「ミズスマシ」という一種について、川の淵などでの生息を報告しています。

この研究でミズスマシが多く見られたのは、川の流路の中でも、水面にほとんど波紋が生じず、流れの目立たない場所でした。全国のミズスマシの仲間すべてに当てはまる条件ではありませんが、「川にすむ」という言葉の中にも、こうした水面の使い方が含まれています。

水面から川底へ目を移すと、また別のすみかがあります。川の石の裏側やすき間で暮らす虫も知ると、虫によって使う場所が違うことが見えてきます。

小さな虫の細部を見ようとして、水際へ身を乗り出したり、水に入って追ったりする必要はありません。出かける前の確認には、家族で読む川遊びの安全チェックを使ってください。

川の水面の虫についてよくある質問

くるくる泳ぐ虫なら、ミズスマシと決めてよいですか?

動きは手掛かりになりますが、それだけで種類までは決められません。体や脚の形も合わせて比べ、分からなければ「ミズスマシの仲間かもしれない」と候補のままにしておきましょう。研究でも、ミズスマシの種の判定は、外から見える形だけでは難しいとされています。

水面にいる虫は、みんな水面で暮らす種類ですか?

そうとは限りません。水面に落ちた虫が、アメンボやミズスマシの餌になることもあります。水面にいる姿だけでは、その虫のふだんのすみかまでは分かりません。

水面の虫を見分けるなら、二つの写真で体の形を見比べる

上で紹介した福岡県のアメンボの写真と、東京動物園協会のミズスマシの写真を見比べてみてください。細長い体と丸みのある体では、輪郭がどう違って見えるでしょうか。

「細い体から脚が伸びている」「丸みのある体につやが見える」など、写真で確かめた特徴を一つ言葉にしてみましょう。どちらが口を差して吸い、どちらがかじって食べるのかも、一緒に思い出してみてください。