川で魚が見つからない理由:暮らす場所と活動する時間

魚がいつも、上から見通せる場所を泳いでいるとは限りません。種類によっては、石や倒木のそばで隠れて過ごす時間があります。

たとえば、和歌山県立自然博物館のドンコの解説では、昼間は石陰や倒木の脇に隠れ、夜になると動き出す暮らしが紹介されています。2003年の館だよりをもとに改訂された解説です。

開けた水中を泳ぐ姿だけを探していると、こうした隠れ場所で過ごす魚には気づけないことがあります。水面が見えていても、石の下や倒木の陰まで見えているとは限りません。

ただし、ドンコの生態を知っても、目の前の川にドンコがいたことにはなりません。魚の種類ごとに暮らし方は違い、そのとき見ていた範囲に魚がいなかった可能性も残ります。

川の魚が見えないのは、反射や濁りで見える範囲が変わるから

水面に空や木々が映り、水中がよく見えないことがあります。また、水が濁っていると、底や魚の姿を見分けにくくなります。こうした見え方の条件は、研究の観察にも影響しています。

岸からの観察でも、続けて見られない日があった

大阪府豊中市の清水池では、1978年6月に、岸からバラタナゴの行動を観察した研究が行われました。長田芳和さんが1985年に公表した論文(PDF)には、偏光メガネを使っていても、水の澄み具合や水面の反射によって、途切れ途切れにしか観察できない日があったと記されています。

この池の研究では、魚を調べている最中にも、水中を見通せる状態が続くとは限りませんでした。魚の行動だけでなく、見る側の視界にも限りがあるのです。

水中から調べる方法でも、濁りが確認結果に影響した

沖縄県が2022年9月にまとめた環境モニタリング調査報告(PDF)にも、透明度によって魚の目視結果が左右されると書かれています。雨の後などに濁りが強まり、ウタラ川の調査地点では魚をほとんど確認できない場合もありました。

西表島の浦内橋周辺など、川の水と海水が混ざる汽水域での専門調査です。満潮に近い時間に、2名がスノーケルを使って水中から魚を見ていました。岸から眺める親子の観察と同じ方法ではありませんが、水中から見ても、濁りが確認結果に関わった例です。

魚をどれだけ確認できるかには、その場所の魚の数だけでなく、水中の見通しのよさも関わります。

魚が見つからない二つの場面で、水中のどこまで見える?

次の図では、別々の架空の場面を並べています。どちらも魚を描かず、水中の見え方に注目しています。

水面の反射で水中が見えにくい例と、底の一部は見えるが魚影は未確認の例を並べた模式図図を大きく開く
別々の架空の場面で、見える範囲を比べた模式図です。同じ川の前後変化や調査結果ではなく、この見え方だけで魚の有無は決められません。

反射が目立つ場面では、水面の様子は分かっても、その下を広く見渡せません。もう一方では川底の一部が見えていますが、石の裏側や、図の外の水中まで見えたわけではありません。

同じ「魚影は確認できない」という場面でも、水中のどこまで見えるかには違いがあります。

現地で見えない部分を確かめようと、水際へ近づいたり、石を動かしたりする必要はありません。川へ出かけるときは、家族で読む川遊びの安全チェックを確認してください。

川の魚が見つからないときによくある質問

川底が見えていれば、魚も見つかりますか?

底が見えることと、魚を確認できることは別です。見えている範囲に魚がいない場合もあれば、石の陰などが見えていない場合もあります。一部の底を見通せても、川全体の魚を確認したことにはなりません。

魚が見えないのは、水が汚れているからですか?

魚が見えないことだけでは、水質は判断できません。居場所や活動、水面の反射なども関わります。水の透明さと水質の違いは、川の水が透き通って見えることと、生き物のすみやすさで説明しています。

魚が見つからない日は、図の「見える水中」を一つ比べる

二つの図のうち、川底の一部が見えるのはどちらでしょうか。魚の有無は決めず、まずは水面の下を見通せるところを一つ確かめてみてください。

「水面が見える」と「水中が見える」は違います。魚が見えない場面にも、どこまで見えていたかという手がかりが残ります。

魚が使う場所のほうが気になったら、川底にいる魚の体の形と暮らしへ。カワヨシノボリやドンコを例に、石の上や下で過ごす姿を見ていけます。