川で見た虫の名前を調べるには?脚・尾・体の形を比べよう

川で見た小さな虫を、帰ってから写真で見直すと、細い尾や長い脚に気づくことがあります。「これは何という虫だろう」。そんなときは、体のどこが見えているかを確かめるところから、名前を調べられます。
川の水生昆虫の名前を調べるときは、脚・尾・体の形など、見える特徴を複数選んで公式資料と比べます。 尾が2本というだけでカワゲラとは決まりません。まずは仲間の候補を探し、写真で判断できない部分は、そのまま残しておきましょう。
目次
水生昆虫の名前を調べる前に、写真のどこが見えるかを確かめる
水の中で幼虫の時期を過ごす昆虫には、平たい体のもの、細長いもの、イモムシのような形のものがいます。似た色でも、体のつくりは違います。
手元の写真では、次のような部分を比べられます。小さく写っていたり、体の陰になっていたりするところは、無理に数えなくて大丈夫です。
| 見るところ | 写真で確かめたいこと |
|---|---|
| 体全体 | 平たいか、細長いか、イモムシのような形か |
| 脚 | 体のどの部分から出ているか。左右に何本ずつ見えるか |
| 体の後ろ | 細く長いものが伸びているか。先まで写っているか |
| 腹部の横 | 葉のような形など、横へ張り出した部分が見えるか |
「尾が2本見える」と「尾が2本ある」は、同じとは限りません。もう1本が重なっているのか、写っていないのかを判断できない写真もあります。見えない部分を、ないものとして数えないのが大切です。
川の水生昆虫の調べ方:公式の検索ページから仲間の候補を探す
兵庫県立人と自然の博物館の水生昆虫検索は、写真や形から調べられる入口です。カゲロウ、カワゲラ、トビケラのほか、トンボや甲虫などの仲間へ進めます。
最初から細かな種名を当てようとせず、似た体の仲間を開き、説明にある特徴が写真と合うかを見ていきます。「カゲロウの仲間」は一つの種の名前ではなく、その中にいろいろな種類が含まれています。
カゲロウ、カワゲラ、トビケラでは、尾や脚のつくりが手がかりになります。川の虫がすべてこの三つに分かれるわけではありません。
尾が2本でも、カワゲラとは限らない
カワゲラの幼虫には、体の後ろに2本の尾があります。一方、カゲロウの幼虫には3本のものだけでなく、2本のものもいます。尾の本数が同じ候補どうしは、ほかの部分も比べる必要があります。
検索図には、腹部のえらや脚の先の爪など、さらに細かな違いが示されています。ただし、普通の写真では爪まで見えないこともあります。その場合は「尾は2本見えるけれど、脚先は判断できない」として、候補を残せます。
一つ特徴が合ったら、名前を決める前に、もう一つ比べられるところを探してみてください。
トビケラは、胸の脚と体の後ろも手がかりになる
トビケラの幼虫には、イモムシのような体をしたものがいます。巣を作る種類も、巣を持たない種類もいるため、巣が見えないというだけでは候補から外せません。
京都府のトビケラ解説では、京都の河川でよく見つかる種類とともに、体のつくりを紹介しています。胸には左右一組の脚が3組あり、腹部の後ろには、鉤のような爪を備えた「尾肢(びし)」があります。
胸の脚と、腹部の後ろの尾肢は、別の部分です。「後ろに何かが伸びている」と気づいたときも、カゲロウやカワゲラの細長い尾と同じ形なのか、資料で比べられます。
また、同じ種類でも、成長に伴って巣に使う材料が変わる場合があります。砂粒の巣か、植物片の巣かという違いだけで、種名まで決めることはできません。巣の写真しかないなら、巣の形や材料が分かる範囲で調べ、幼虫の体は未確認としておきます。
水生昆虫の検索図にも、対象とする場所や成長段階がある
環境省の『河川生物の絵解き検索』(PDF)は、体の特徴を比べながら調べられる資料です。ただし、川にいるすべての生き物を、種名まで調べられる本ではありません。
この資料が主に扱うのは、汽水域を除いた川の平瀬や早瀬にすむ、約2mm以上の生き物です。海水が混じる場所や、流れのない水域で見た虫には、掲載されていないものも考えられます。
調べられる細かさも、主に「科(か)」までです。科は、種より大きな分類のまとまり。「何の仲間らしいか」が分かっても、一つの種の名前まで分かったとは限りません。
もう一つ確かめたいのが、幼虫の成長段階です。昆虫の幼虫は、この資料では幼虫として最後の成長段階にあたる「終齢幼虫」の姿で描かれています。まだ若い幼虫では、見分ける特徴が十分に発達していないことがあります。
図と少し違って見えたときは、別の種類なのか、育ち方の違いなのか、写真で見えないだけなのか。すぐに一つへ決めず、資料がどんな生き物を対象にしているかへ戻れます。
水生昆虫の名前調べでよくある質問
写真が小さく、脚や尾を数えられません。名前は調べられますか?
体全体の形から候補を探すことはできますが、写っていない特徴までは確かめられません。無理に名前を決めず、「平たい体に見える」「尾の先は不明」のように、分かる範囲を残します。写真がなくても、公式資料の中で仲間ごとの違いを比べる楽しみ方があります。
家にある図鑑に、似た虫が載っていないときは?
まず目次や索引で、水生昆虫の幼虫を扱っているかを確かめます。成虫が中心の本では、幼虫の姿が載っていないこともあります。本ごとの掲載対象を考えたい場合は、川の生き物図鑑を選ぶときの見方も参考になります。
水生昆虫の名前調べは、合った特徴と分からない部分を一つずつ
手元に写真があれば、公式資料の似た仲間と並べて、「一致した特徴」と「判断できない部分」を一つずつ探してみてください。写真がない場合は、公式資料の図や写真どうしを比べても構いません。
たとえば、尾の本数は似ているけれど、腹部の横は写っていない。胸の脚は見えるけれど、体の後ろは巣に隠れている。名前が決まらなくても、どこを比べたのかが分かると、次に解説を読む手がかりが増えます。

