魚のひれにはどんな役割がある?胸びれ・尾びれ・背びれの見分け方

水槽の魚が、すっと向きを変えました。大きく尾を振ったようには見えないのに、どうやって曲がったのでしょう。頭の少し後ろでは、小さなひれが動いています。
魚のひれは、進む・曲がる・姿勢を保つために働きます。 多くの魚では尾びれが前進を助け、胸びれや腹びれは向きやバランスの調節、背びれや尻びれは姿勢の安定などに関わります。ただし、どのひれをよく使うかは魚の種類や泳ぎ方によって違います。
目次
魚のひれはどこにある?まずは五つの名前
ひれの名前は、体のどこにあるかと結びつけると覚えやすくなります。背中にあるのが背びれ、尾の先が尾びれ。胸びれは、頭のすぐ後ろの左右についています。
| 名前 | 見つける目印 | 泳ぐときの主な働き |
|---|---|---|
| 胸びれ(むなびれ) | 頭の後ろ、体の左右 | 向きを変える、速度や姿勢を調節する |
| 腹びれ(はらびれ) | 腹側の左右。位置は種類で異なる | バランスを保つ、動きを調節する |
| 背びれ(せびれ) | 背中側 | 姿勢を安定させる、方向転換を助ける |
| 尻びれ(しりびれ) | 腹側の、肛門より後ろ | 姿勢を安定させる |
| 尾びれ(おびれ) | 尾の先 | 前へ進む力を生む |
これは、多くの魚に見られるつくりと働きの入門です。この五種類がそろわない魚や、ひれの形・使い方が大きく違う魚もいます。一つのひれが、表に書かれた仕事だけをするわけではありません。
ひれの基本配置は国立科学博物館の「魚の体」、働きはシーワールドの魚類解説・Finsの項目(英語)でも紹介されています。
胸びれ・腹びれは、左右に一枚ずつある
五つの名前を知ると、「ひれは全部で五枚?」と思うかもしれません。けれども、ひれの種類の数と、枚数は別です。 胸びれと腹びれは、右と左に一枚ずつある「一対(いっつい)」のひれです。
横から魚を見ると、向こう側の胸びれが体に隠れることがあります。見えるのが一枚でも、それだけで全部とは限りません。魚が自分で向きを変えたときに、反対側の胸びれが現れることもあります。
一方、背びれ・尻びれ・尾びれは、胸びれのように左右の組にはなっていません。背びれが二つに分かれた魚もいますが、これは右と左に分かれているのではなく、背中に沿って前後に並んでいます。
「片側だけ見ているのか」「背中の前後を見ているのか」。そこを分けると、図と目の前の魚の形をつなげやすくなります。
尾びれだけではない、曲がるための小さな動き
多くの魚は、体や尾を左右に動かして水に力を加え、前へ進みます。しかし、泳ぐには前進以外の動きも必要です。水草のそばで曲がるときや、泳ぐ速さを落とすときには、向きや姿勢を調節しなければなりません。
胸びれや腹びれは、そうした調節にも関わります。ひれを動かす向きや広げ方が変わると、水から受ける力も変わります。大きな尾の動きばかり見ていると、体の横や下で行われる小さな動きを見落としやすいのです。
フロリダ自然史博物館の泳ぎ方の解説(英語)では、胸びれや腹びれが姿勢を安定させることや、泳ぎ方によっては減速・方向転換を助けることが説明されています。胸びれを主に使って泳ぐ魚もいます。
だから、胸びれを一律に「ハンドル」、尾びれを「エンジン」と決めてしまうと、説明できない泳ぎ方が出てきます。名前はついている場所を知る手がかり、働きはその魚の動きと一緒に考えるものです。
水中で浮きやすさを調節する体内の器官は、ひれとは別の仕組みです。こちらは魚の浮き袋は何をする?で図とともに説明しています。
背びれや尻びれで泳ぐ魚もいる
「尾びれが前進、ほかのひれが調節」という見方だけでは足りない例もあります。海の魚に目を向けると、フグは分かりやすい例です。
環境省のフグの解説では、腹びれがないこと、背びれや尻びれを使って泳ぎ、尾びれを方向転換などに使うことが紹介されています。背中やお腹の後ろのひれも、進むために働くのです。
同じ名前のひれでも、体の形や泳ぎ方が違えば、働き方も変わります。基本の位置を覚えるのは、その違いに気づくためでもあります。
水槽では、同じ一匹の尾と胸を順に見てみよう
次に魚を見るときは、一度に全部のひれを追わず、同じ一匹の尾びれから見てみてください。尾が大きく動く場面を見たら、今度は頭の後ろへ目を移します。曲がる前後に、胸びれはどんなふうに動くでしょうか。
細かい動きが速くて見えなくても大丈夫です。水槽をたたいたり、魚に触れてひれを広げたりせず、魚が自然に動くのを眺めます。親子で尾と胸を分担して見ると、それぞれが気づいた動きを話せます。
最初に気になった、頭の後ろの小さなひれ。それも、魚が水の中で向きや姿勢を調節する体の一部です。名前が一つ分かると、さっきまで「泳いでいる」とだけ見えていた姿に、別の動きが見えてきます。
もう少し水槽を楽しみたくなったら、淡水魚の水族館で、どこを見ると面白い?へ。ひれの次は、魚が水槽のどの場所で過ごしているかにも目を向けてみてください。

