同じ川でも生き物は違う?二つの場所を比べる親子の観察

川沿いを歩いていると、草のある水際、石が見えるところ、木々が映る水面など、少しずつ景色が変わります。「場所が違うと、見える生き物も違うのかな」と気になったら、二つの場所を比べてみる方法があります。
そのとき、生き物と一緒に見ておきたいのが、自分たちの「見方」です。
同じ川の二つの場所を比べるときは、見る人・方法・時間・範囲をなるべくそろえ、そろわなかった条件も一緒に考えます。 見えた姿が違っても、それだけで生き物の多さや水質、違いが生まれた理由までは決まりません。「同じにしたこと」と「違っていたこと」が、比べる手がかりになります。
目次
川の生き物を比較する自由研究は、岸から見られる二つの場所を選ぶ
同じ川沿いの、利用できることを確認した遊歩道や観察場所から、無理なく見られる二地点を選びます。遠く離れた上流と下流を一度に比べるより、移動の負担が少ない範囲から考えられます。
それぞれをA、Bと呼び、立つ場所と見る範囲を決めます。たとえば「手前の草の切れ目から、右側に見える大きな石まで」のように、目印があると、どのあたりを見ていたかが分かります。
見える範囲をそろえるために水際へ降りたり、魚を追って場所を変えたりはしません。片方しか見られない日は、一地点の観察にできます。出発前は家族で読む川遊びの安全チェックを確認してください。
二つの場所の比較は、見る人・方法・時間・範囲をそろえる
神奈川県の県民参加型調査マニュアル(PDF)では、相模川・酒匂川水系の調査で、日時や地点、調査者、天候、調べた範囲なども残すようになっています。生き物の名前だけでなく、どのように調べたかが結果を読む手がかりになります。
次の表は、調査の条件を大切にする考え方を、岸からの親子観察に生かすための提案です。専門調査の標準手順を示したものではありません。
| 比べる条件 | なるべくそろえる工夫 | それでも残る違い |
|---|---|---|
| 見る人 | AとBを同じ人が見る | 疲れや集中の具合は変わる |
| 見る方法 | どちらも岸から、目で見える姿を観察する | 立つ高さや水面までの距離は違う |
| 観察する時間の長さ | 始めと終わりを決め、同じ長さにする | 長さが同じでも、魚の動きや見つけやすさは同じにならない |
| 見る範囲 | 各地点で目印を決め、途中で範囲を広げない | 見渡せる広さや水深まで同じとは限らない |
| 時刻・天候 | 同じ日に続けて見るなど、時刻の差を小さくする | 移動中に光、雲、風、水面の反射が変わることがある |
時間をそろえるために無理をせず、子どもが疲れたり天候が変わったりしたら、観察を切り上げます。予定より短くなったことも、そのまま残します。
土木研究所の研究者らによる2014年の報告(PDF)も、魚類の専門調査では、場所ごとに調査方法や調査にかけた人手・時間などが異なるため、確認した個体数を単純に比べるのは難しいと説明しています。
親子の観察でも、Aは一人で少しだけ、Bは二人で長く見たのなら、結果に「見方の違い」が影響した可能性も考えます。時間だけでなく、誰が何をどう見たかも合わせて考えましょう。
比較した川の生き物がAで見えてBで見えなかったら
次は説明用の架空例です。同じ人が、遊歩道から目で見える姿を、同じ長さの時間ずつ観察したとします。
| 比べたところ | A | B |
|---|---|---|
| 水際の様子 | 草が水面に接している | 石が並んでいる |
| 水中の見え方 | 草の手前の水中が見える | 水面の反射が強く、水中を見通しにくい |
| 確認できた姿 | 草の手前を泳ぐ小魚が見えた | 魚影は確認できなかった |
この例から言えるのは、Aでは小魚が見え、Bでは確認できなかったことです。Aに草があることと魚が見えたことは、同時に観察されています。それだけで「草があったから魚が集まった」とは分かりません。
Bについても、魚がいない、Aより水が汚い、と結論づけることはできません。二地点で反射や見通せる範囲も違っています。見えない理由の考え方は、魚の居場所と水中の見え方を分ける記事で詳しく紹介しています。
比べて違いが見つかったら、すぐに答えを決めず、「見え方がどのくらい違ったのだろう」と次の疑問にできます。
自由研究で条件をそろえる工夫と、理由を確かめることは別
専門の調査でも、条件をそろえれば違いの理由がすべて分かるわけではありません。
2008年版の猿谷ダム定期報告書(PDF)では、流入河川の天の川・広瀬地点で、1999・2004・2006年度に確認された魚を比べています。調査方法や人手・時間などの条件をある程度そろえて整理しても、確認した数の差が環境の変化によるものかは不明、としています。
この報告が扱うのは、同じ地点の異なる年度の比較です。そろえる工夫をしたことと、原因を確かめ終えたことは、分けて考える必要があります。
川の二地点には、水の深さ、流れ、草、石、見る角度など、いくつもの違いがあります。一度見比べただけで、そのうちの一つが原因だと決めず、今回そろった条件と、そろわなかった条件を手がかりにします。
川の生き物を二つの場所で比べるときによくある質問
二つの場所を同時に見ないと、比べられませんか?
同時に見るために親子で離れる必要はありません。同じ日に続けて見た場合も、AとBで時刻が違うことを残します。時刻の差や、その間の天候・反射の変化も含めた観察として扱います。
観察した時間の長さが違ったら、やり直しますか?
やり直しを急ぐ必要はありません。時間が違ったことを残し、同じ条件で比べた結果とはしないでください。数を記録していて、その違いを表やグラフにする場合は、観察時間と数え方を確かめる方法へ進めます。
自由研究のまとめ方:同じにできたことと違ったことを一つずつ
帰ってからAとBを振り返り、「同じにできたこと」と「違っていたこと」を一つずつ、手元のメモに残してみてください。
たとえば同じ人が見たのか、水中の見通しは違ったのか。自分たちの観察に当てはまるものを選びます。生き物の姿と一緒に、その姿が見えた条件も振り返れます。
かわみっけの観察メモを使う場合は、「見えたこと」にA・Bの文字を添えて入力すると、二地点の内容を分けて残せます。入力内容は自動保存されません。画面を閉じる前に、テキストファイルとして保存するか、コピーして手元に残します。

