一枚の硬い殻ではなく、薄いうろこが重なる

ここで見ていくのは、多くの硬骨魚にある、薄い骨質のうろこです。硬骨魚は、フナなど、主に骨でできた骨格を持つ魚の仲間です。うろこのつくりは魚の仲間によって異なるため、すべての魚に同じ説明が当てはまるわけではありません。

薄いうろこには、カルシウムを含む骨質の部分と、コラーゲンを多く含む部分があります。一枚の大きな殻が体を包むのではなく、小さなうろこが一部ずつ重なって並んでいます。

オーストラリア博物館の円鱗・櫛鱗の解説では、前のうろこの後ろ側が、次のうろこの前側を覆う並びと、その柔軟さを説明しています。屋根の瓦が重なる様子に似ていますが、魚のうろこは皮ふの中にあり、瓦のように外へむき出しではありません。

うろこは体を外から守るつくりの一つです。薄いものが重なる構造は、硬い一枚の板で覆うよりも、体を曲げる動きに対応しやすくなっています。

うろこの外側にも、表皮と粘液がある

体の外側から粘液、表皮、うろこを含む真皮の順に並び、うろこが頭から尾の方向へ一部ずつ重なる断面模式図
皮ふの一部を横から見た断面の模式図です。位置関係を示すために厚さや角度を強調しており、実物の比率ではありません。

魚の皮ふには、外側の「表皮」と、その内側の「真皮」があります。薄いうろこは真皮の中にあり、その上を表皮が覆っています。さらに表面には、表皮の細胞が出す粘液があります。

ハワイ大学の魚の体のつくりの教材では、この表皮・真皮・うろこの位置関係と、粘液をつくる細胞が説明されています。うろこの模様が外から見えていても、硬いうろこそのものがいちばん外側とは限らないのです。

粘液は、うろこと同じものではありません。OpenStaxの硬骨魚の解説でも、重なったうろこと、皮ふから出る粘液を別のつくりとして説明しています。粘液は魚が水中を滑らかに動くことなどに関わります。

並びやぬめりを確かめようとして、生きた魚の体をこすったり、うろこをはがしたりしないでください。表面の様子は、写真や水中で見える範囲から調べられます。

うろこが目立つ魚も、見えにくい魚もいる

うろこの大きさや並び方は、魚によって違います。一枚ずつの境目が見えやすい魚もいれば、小さくて皮ふの中に埋もれ、目立たないものもいます。たとえば淡水のウナギの仲間には、小さなうろこがあります。

一方で、うろこを持たない魚もいます。したがって「うろこが見えなかった」という観察だけでは、本当にうろこがないのか、小さくて見えにくいのかは決められません。

また、光の当たり方や魚の向きが変わると、並びの見え方も変わります。よく見えなかったところを想像で埋めず、「体の真ん中だけ見えた」のように範囲を残しておきます。体の横に一本の線のように見える部分は、模様ではなく水の動きを感じる感覚器のこともあります。魚の側線とは?水の動きを感じる仕組みで確かめられます。

見えた並びを、触らず記録してみる

魚の写真を見返すときや、すでに観察している魚を水中で眺めるときは、体のどこに模様が見えるかに注目します。細部を見るために、新たに捕まえたり、長く容器に留めたりする必要はありません。写真で残すときの距離の取り方は、川の生き物を写真で観察するマナーを参考にしてください。

見るところ記録の例そこから決めつけないこと
一枚ずつの境目体の横に細かな並びが見えた体のすべてで同じ大きさだとは限らない
並びの向き頭から尾へ重なるように見えた見えた部分だけで全身の構造を断定しない
見えた範囲背中側は分からず、体側だけ見えた見えない場所にうろこがないとは限らない

メモを描くなら、まず魚の輪郭を簡単に描き、気づいたところだけ書き足します。輪郭からひれ、模様へ進む順番は、川魚の観察スケッチを描こうにあります。

  • 頭と尾の方向を矢印で示す。
  • うろこの並びが見えた範囲に、小さな印を付ける。
  • 見えなかった場所は「不明」と残す。

うろこの位置を知ると、体の表面を「模様があるところ」としてだけでなく、いくつかの層で守られた部分として見られます。

魚のうろこについて、よくある質問

魚のうろこは、皮ふの上に貼り付いているのですか?

ここで扱った薄いうろこは、真皮という皮ふの層の中にあります。その外側を表皮と粘液が覆っています。硬い板が皮ふの上にむき出しで貼られている、というつくりではありません。

うろこが見えない魚には、うろこがないのですか?

そうとは限りません。小さなうろこが皮ふの中に埋もれていて、見えにくい魚もいます。うろこを持たない魚もいるため、見た目だけで一律に決めず、種類ごとの資料で確かめます。

一枚の模様から、体を守るつくりへ

次に魚の体側を見るときは、うろこの並びと、その上にもある目に見えにくい覆いを思い出してみてください。小さな板の重なりが、しなやかに動く体の一部になっています。名前を調べたくなったら、川の小魚の名前を調べるには?体形・模様・泳ぎ方の観察ガイドへ進めます。

観察メモには、見えたうろこの範囲を一か所描くだけでも十分です。よく見えたところと、まだ分からないところを分けて残してみましょう。