アメリカザリガニは、捕まえた直後にその場で戻せる

環境省のQ&Aでは、アメリカザリガニを捕獲してすぐにその場で放す行為は、外来生物法による規制の対象外とされています。公園や保護区域などの採集ルールまでなくなるわけではありません。看板や管理者の案内も確かめてください。

戻す場所にも注意が必要です。帰り道の別の池や、家の近くの川に「放してあげよう」とするのは、一度移動させた個体を放すことになり、こちらはできません。「同じ日なら戻せる」という意味ではありません。戻すのは捕獲した直後、その場所です。持ち帰ってから判断するために連れ出さないでください。

子どもには「飼う準備ができていないから、今ここで戻そう。家で飼い方を調べよう」と、今日の行動を短く伝えられます。

家に持ち帰ったザリガニは、同じ川でも放せない|条件付特定外来生物の決まり

アメリカザリガニは2023年6月1日から、アカミミガメ(ミドリガメ)と一緒に「条件付特定外来生物」になりました。家庭で飼う場合も、放出や販売などに関する規制があります。

  • 外来生物法上、アメリカザリガニの捕獲と家庭でのペット飼育は手続き不要。採集場所のルールは別に確認する。
  • 野外に放す、逃がすのは法律で禁止で、罰則がある。家に持ち帰ったら、捕まえた場所に戻すこともできない。
  • きちんと飼わずに逃げ出した場合も、違法になることがある。だから、蓋のある容器で飼う。

つまり「一度おうちの子になったら、川には帰れない」。持ち帰る前に、家族でこの点を共有しましょう。アメリカザリガニは飼育下で5年ほど生きる可能性がある、と環境省は書いています。夏休みだけの世話では終わらないこともあります。

決まりの背景には、放されたザリガニが水草を食べ尽くしたり、在来の生き物のすみかを奪ったりしてきたことがあります。子どもが理由を知りたがったら、この影響も一緒に調べてみてください。「連れて帰るなら最後まで面倒をみる」と伝えたうえで、外来種と侵略的外来種の違いも親子で読んでみてください。

その場で戻す・飼う・迷う|帰る前に親子で決める3択の比べ方

種類と現地ルールを確認し、捕獲直後ならその場で戻すか準備して飼うかを選ぶ。持ち帰った個体は野外へ放さない。図を大きく開く
「迷う」は持ち帰って考えることではありません。種類が不明なら、まず現地で確認します。

バケツを囲んで、次の表を一緒に見てください。アメリカザリガニと確認でき、採集が認められている場所での選び方です。「飼う」は準備と継続した世話ができる場合に選びます。

選ぶこと今日することできること用意するもの
その場で戻す捕獲直後に、同じ場所へ戻す持ち帰らず、見つけた記録を残す安全に戻せる足場
飼う準備済みの、脱走を防ぎ通気も確保できる容器で運ぶ家で継続して観察する飼育設備と、最後まで世話をする担当者
迷う持ち帰らず、捕獲直後にその場で戻す家で飼い方や置き場所を相談する調べる時間。次回も種類と現地ルールを確認

「迷う」を選択肢に入れたのは、川べりで決めきれない日が普通だからです。迷うは、今日の行動としては「戻す」と同じ。ただ、「飼わないと決めた」のではなく「家で飼えるか調べよう」と話すこともできます。次に捕まえる約束までしなくてもかまいません。

子どもの希望を聞いたうえで、世話を続けられるかは大人も判断します。「飼いたい」と言えたことだけで、持ち帰る準備が整うわけではありません。

ザリガニを飼うと決める前に確かめる5つのこと

持ち帰るつもりなら、捕まえる前に次の5つを家族で確かめておきましょう。今その場で準備不足に気づいたら、連れ出す前に判断します。

  1. 蓋があって、登れない高さの容器を用意できる。 環境省の飼育のポイントには、蓋をする、ザリガニは蓋を押し上げることがあるので重しを乗せる、エアチューブを伝って逃げやすいのでそこも閉じる、とあります。掃除で一時的に出すときも、別の蓋付き容器へ。
  2. 水の用意ができる。 水道水はそのまま使わず、飼育用のカルキ抜きを製品の説明どおりに使います。水は背中がかくれるくらい浅くして、上がれる安定した足場を用意します。浅い水で飼う場合も、水の汚れや温度をこまめに確認してください。深く入れるなら、空気を送るポンプが要ります。
  3. 餌を続けられる。 ザリガニ用の餌を用意し、製品の目安と食べ方を見ながら量を調整します。食べ残しを取り出す作業も、担当を決めておきましょう。
  4. 数年先も世話を続けられる。 5年ほど生きる場合も考え、引っ越しや旅行のときに世話を頼める人がいるか確かめます。
  5. 世話の担当を決めた。 子どもが主役でも、水替えと脱走チェックは大人がバックアップする、と最初に決めておきます。

もう一つ。2匹以上を同じ容器に入れると、けんかでハサミや脚が取れることがあります。複数飼育や繁殖を安易に始めず、個体ごとに分けて飼える準備が必要です。

飼えなくなったら?無償で譲る相手の探し方と、してはいけないこと

飼い始めてから事情が変わることもあります。そのときの手順も、最初に知っておくと気持ちが楽です。

  • 譲るのは大丈夫。 友人や知人、新しい飼い主探しをしている団体などへ、無償で譲るのは手続きなしでできます(環境省)。相手が逃がさず最後まで飼えるかも確かめます。学校などの継続的な飼育には飼養等基準が関係するため、受け入れ先に確認してください。
  • できないこと。 野外に放す、逃がす。それと、不特定多数や特定多数へ配り分けること(頒布)。生きたまま売る・買うも禁止です。
  • どうしても譲り先がないとき。 環境省は、最後まで探しても見つからない場合は殺処分もやむを得ない、と書いています。そうならないために、飼う前によく考えてほしい、というのが同じページの結論です。

まだ捕まえた直後の現地にいるなら、持ち帰らず戻す判断ができます。すでに持ち帰った個体は戻せません。

赤くないザリガニは、色だけで種類を決めない

本州以南の野外にいるザリガニの多くはアメリカザリガニです。ただ、北海道と東北の一部には、日本にもともといるニホンザリガニが、冷たくてきれいな水の場所にいます(環境省)。大きくても全長8cmほどで、体は茶色っぽく、アメリカザリガニのように赤くなりません。

環境省の同定マニュアルでは、北海道や福島県、長野県、福井県、滋賀県などに、ウチダザリガニという別の外来種が記録されています。こちらは適用除外のない特定外来生物です。体長15cmほどにもなる大きなザリガニで、持ち帰りも移動も、許可なしではできません。

アメリカザリガニの幼体にも茶色っぽいものがいます。赤いかどうか、見つけた地域だけでは判断できません。種類が分からない個体は新たに捕まえたり持ち運んだりせず、写真を撮って管理者や地域の専門施設に確認してください。すでに捕まえた場合も、種類と現地の扱いを確認し、別の場所へ移しません。環境省の規制ページから、甲殻類同定マニュアルの写真を参照できます。この記事のイラストは種類を見分ける資料ではありません。

ザリガニに挟まれたときの外し方と、持ち方・手洗い

観察はケース越しに行い、ハサミの前に指を出さないようにします。持ち方を覚えれば必ず挟まれない、というものではありません。子どもに無理につかませず、移動が必要なときは大人が容器などを使って対応します。

挟まれたら、振り払ったり無理に引き離したりせず、大人を呼びます。水際から離れた安全な場所で、ザリガニをぶら下げないよう容器や足場を下に添えてください。離れない、強く痛がる場合は、無理な操作を続けず医療機関へ相談します。

皮膚が傷ついたら、清潔な流水で汚れを洗い流し、清潔なガーゼなどで保護します。出血がある場合は直接押さえて止血します。大量に出血しているときは洗う前に圧迫して119番へ。傷が深い、出血が止まらない、強い痛みや腫れがある場合も受診してください。出血時の基本は、日本赤十字社の止血の手当も参考になります。

川や池の生き物を触ったあとは、顔を触る前と、おやつの前に手を洗う。自宅の飼育水や使った餌を、川や池へ流してはいけません。

飼うと決めた家庭が最初にそろえる物|蓋付きケース・隠れ家・水・餌の確認点

最初から水槽一式をそろえる必要はありません。容器のほか、水質管理や留守中の世話まで準備しておきます。次の表は、道具を確認する出発点です。

物役目確認すること
蓋付きの飼育ケース脱走を防ぐ。法律上の「逃がさない」を家で守る蓋が留まるか、重しを乗せられるか、1匹が体の向きを変えられる広さか
隠れ家脱皮の直後に身を守る。落ち着く飼育用の筒など、安定して置けて、角や割れ目で体を傷つけないもの
水とカルキ抜き呼吸と脱皮のため浅く張る。深くするなら空気を送るポンプと、チューブからの脱走対策
ザリガニ用の餌殻をつくる栄養沈むタイプ。少量ずつ。食べ残しは取り出す

ケースは、体の向きを変えられる底面の広さ、逃げ出せない蓋と隙間、掃除のしやすさを見て選びます。水を入れて使える製品か、どの水位まで対応するかも確認してください。「昆虫用」「LL」という表記だけで、水槽として使えるとは判断できません。

飼うと決めて、蓋と高さを確かめた家庭へ。 候補はアイリスオーヤマの飼育ランド CY-Lです。外寸は幅36.5×奥行21.5×高さ24.5cm。教材販売元の製品案内には、水生生物にも使えることが記載されています。1匹が方向を変えられるか、隠れ家を置けるかを実際の大きさに合わせて確かめてください。蓋の隙間やチューブ穴からの脱走対策は別に必要です。小さな幼体では隙間の大きさに特に注意します。

飼育の手順を続けて調べるなら、キョーリンのザリガニ飼育案内も参考になります。餌・水替え・脱皮の確認を、持ち帰る前に済ませましょう。

ザリガニを捕まえたあとのよくある質問

飼っていたザリガニが死んだら、どうすればいい?

川や池に流したり、水辺に埋めたりはしません。アメリカザリガニは在来の甲殻類に影響する病気を運ぶことがある、と環境省が説明しているためです。お住まいの自治体のごみの分け方に従って、処分方法を確認します。分別や受付条件が分からなければ、自治体の窓口に問い合わせてください。その前に、子どもと「ありがとう」を言う時間をとってあげてください。

公園の池や用水路でザリガニを捕まえてもいい?

アメリカザリガニの捕獲自体は外来生物法の規制対象外です。ほかの種類にも同じ扱いを当てはめないでください。ただし、公園の決まりや、立ち入り禁止、私有地の用水路は別の話です。看板と公園の案内を確かめる手順は、公園の川で生き物採集をする時のルール確認にまとめています。

ザリガニ釣りは違法になった?

アメリカザリガニを捕まえ、直後にその場で放す行為は外来生物法の規制対象外です。ただし、採集禁止の場所では行えません。釣ったあとの選び方は、この記事の3択と同じ。釣ったザリガニを生きたまま売ったり、買ったりすることは禁止です。

帰る前に、今日の1匹をどうするか親子で決めよう

アメリカザリガニと確認でき、採集できる場所で捕まえた直後なら、「すぐここで戻す」か「準備した家で飼う」かを考えます。迷う日は持ち帰らず、家で飼い方を調べましょう。今日見つけた記録は、写真やメモにも残せます。

連れて帰ると決める前に、飼育場所と道具、世話の担当を確かめておきましょう。持ち帰る前にもう少し考えたいなら、川の生き物を持ち帰る前の判断で、種類が分からない生き物まで含めた確かめ方を読めます。飼っている生き物を川に放してはいけない理由の全体は、外来種や飼育個体を川に放さない親子ガイドにあります。

決まりの出どころは、環境省の条件付特定外来生物の規制ページです。捕獲・飼育・譲渡・放出のそれぞれについて、何ができて何ができないかが一覧になっています。